11月3日は文化の日です。芸術の秋、行楽の秋、食欲の秋など秋は一年を通じて過ごしやすい季節で、文化の秋でもあります。いろいろな文化に触れるのにいい時期です。
今日は、薪ストーブの文化について考えてみようと思います。
薪ストーブの歴史は古く、14世紀後半にフランスで誕生したと言われています。
その後、ヨーロッパ各地へ広がり、特に北欧で進化していきました。ノルウェー、フィンランド、デンマークなど北欧地域で薪ストーブ文化が根付き様々なメーカーが発展していきました。薪ストーブの発達とともに、薪を供給するための道具も進化していき、斧、チェーンソーなどの分野でもヨーロッパのメーカーが現代でも有名です。
14世紀以前の暖房器具はというと「暖炉」です。
よく薪ストーブと混同されがちですが、薪ストーブと暖炉は違います。暖炉は火のついた薪の周囲とその熱で暖められた周囲のレンガが暖かく、ほとんどの熱エネルギーは煙突から外へ放出されます。薪ストーブは鋳鉄製の躯体が自ら熱を持ち放射熱と輻射熱により、周囲の空気を暖め室内全体を暖める点です。また、暖炉では裸火がむき出しとなっており、火災の危険がありますが、薪ストーブでは火は鋳鉄製の箱の中で燃えるため、火災の危険性は低下します。
現在の薪ストーブの元になる開発をしたのが、「ベンジャミン・フランクリン」と言われています。ベンジャミン・フランクリンが鉄製の箱型薪ストーブを開発し、箱の中に火を閉じ込めることにより、火災の危険性の低下と暖房効率が向上したと言われています。
そんな薪ストーブですが、日本にはいつ頃からあったのでしょうか。
日本で初めて製作された薪ストーブは1856年(安政3年)の函館が始まりと言われています。函館奉行がイギリス船が北海道に入港する際に使用していた薪ストーブを参考に作られたそうです。
函館が「薪ストーブ発祥の地」となります。
当時の呼び名は「カッヘル」と呼ばれおり、オランダ語で石炭ストーブという意味だそうです。
その後、明治時代に入るとストーブは徐々に庶民へと広がり、石炭を燃料とした石炭ストーブが広がっていきます。だるまストーブ、寸胴ストーブなどと呼ばれ石炭を投入し暖をとるようになったと言われています。
日本には古くから囲炉裏文化があり、家の中に囲炉裏があり、囲炉裏で薪を焚き、その熱で料理を行い、暖をとり、煙で食料をいぶし保存食として利用してきました。また、合掌造りの家では、囲炉裏で焚いた薪の煙が屋根材の防腐剤としても利用されていました。
世界には北米とヨーロッパ(特に北欧)に薪ストーブ文化が根付いています。
ヨーロッパの冬の寒さは厳しく、マイナス20℃以下になることもあるそうで、火は冬の生活になくてはならないものでした。暖炉で暖をとることから、薪ストーブに生活様式が変わっていったと言われています。
ヨーロッパでも産業革命以降、石炭や石油を使用した暖房器具が人々の暮らしに浸透し、薪ストーブ文化が廃れた時期もあったそうですが、第二次世界大戦時の燃料不足から薪ストーブへの回帰があり、現在は環境保護の観点から薪ストーブが見直されているそうです。
薪ストーブのメーカーも北米系のバーモントキャスティング、ダッチウエスト、ヨーロッパ系のヨツール、ドブレ、モルソー、ネスターマーティン、スキャンなど数多くのメーカーが個性を出して競い合っています。現在は暖房器具だけでなく、炎を楽しむため、ガラス面が大きくして炎のゆらめきを楽しめる機種や燃焼時の熱を利用した料理ができる機種なども販売されています。
薪ストーブの周辺器具も豊富にあり、斧、チェーンソーなども数多くあります。
斧は、薪を切るためだけでなく、斧を投げて的あてをする文化もあるそうで、人々の生活の中に溶け込んでいるようです。グレンスフォッシュブルークというメーカーの斧は職人が一つ一つを手作りしており、製品には製作者のイニシャルが刻まれています。
また、薪についても、薪の集め方にも違いがあり、冬場は雪が積もるため、夏の暑い時期や春先の雪解け時に薪を作り次の長い冬に備えています。集めた薪の積み方にもそれぞれの地域によって遊び心がある積み方などもあります。
薪ストーブで暖をとるだけでなく、料理にも使う文化が世界にはあり、煮込み料理、ピザなども作っています。
日本では焼き芋を作ったり、天板での煮込み料理、おでん、鍋などができます。また、薪ストーブでお湯を沸かすと口当たりがマイルドになるような気がします。
まとめ
薪ストーブの歴史は古く、ヨーロッパ、北米ではその文化は現代でも強く根付いています。昔は暖をとるための必需品であったが、現代では贅沢品のような扱いを受けることもあります。しかし、地球温暖化が叫ばれる今日において、薪ストーブはエコな暖房器具として改めて見直されています。化石燃料から薪燃料へ。カーボンニュートラルな世界に向けて、薪ストーブ文化の発展を祈ります。