最近のトレンドワードがSDGsです。持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)を17個のゴールに分け2030年までに目標を達成しようというものです。
以前SDGsについて記事を書きました。
薪ストーブとSDGsについて考えてみましたが、今日はその薪とSDGsについて考えてみるためにある書籍を購入しました。
この中から、個人的に薪と水に関係するページを選別し、考えてみました。
地球の水が風呂桶1杯(200Ⅼ)なら使える真水はスプーン1杯(20ml)
水がなくなる日から
真水は地球の水の2.5パーセント。うち70パーセントは凍って使えない。使える水は地下水や川の水、これは地球上の水の0.01パーセントである。
薪ストーブの燃料である薪は木を切り倒す必要があるが、その木が大きくなるまでには相当の水が必要である。カーボンニュートラルに目が行ってしまい、CO2削減ばかり考えていても、木が育たなければCO2を吸収することができない。水資源は薪を調達するにおいても需要な資源である。
2050年、10人に4人は水が得られなくなる
水がなくなる日から
2050年までに世界の人口の増加、産業での水使用量増加、気候変動等で水不足、水汚染はより深刻になる。
2050年までに世界の人口の10人に4人は水を得るのが難しくなる。
これは、薪を得るためというよりも、人間が生きていくための水が手に入らなくなるかもしれないという警告である。日本は今のところ水資源は豊富であるが、今後の気候変動によりその水資源の行方も不透明である。
外国に買われた森林、1年間にTDL15個分
水がなくなる日から
購入目的は開発、投資、材木、水資源など様々である。北海道のニセコ地域などは外国人の集落ができるほど広大である。2016年には1年間で202haの土地が海外に拠点を持つ企業などに買われている。国内に拠点を置く外資系企業なども含めると買われた面積は777haになるとのこと。
この問題は、国内の土地が外国企業によって買われ水資源の独占や、外国人の占拠などの問題も含んでいる。
当然その土地で育った木材は外国に持っていかれ、残った山は、はげ山にされる可能性もある。日本の森林は非常にバラエティーに富んだ植生があり、ブナや楢などの良質な薪資源が豊富ですが、今後、外国企業などに森林を買われると、良質な薪資源が手に入らないなんてことも。
うらめしや 身元不明の幽霊山林
水がなくなる日から
日本の山林の半分は地籍調査未了で、所有者や面積が把握できていない。所有者死亡以降、相続手続きが終わっていない土地、所有者自身が把握できていない土地が多い。
日本以外のすべての先進国では100パーセント土地の地籍が確定している。放置された土地が増えると、水循環の影響だけでなく、防災などでも影響が出てくる。
googleマップなどを見ると日本の地形は山が多く、森林も豊富に見えます。しかし、その半分以上が誰の持ち物かわからない、土地の所有者が判明してもすでに亡くなっている場合もあります。
この放置された森林を手入れすることにより、木材の供給や薪の供給にも寄与するのではないかと考えています。
放置され、相続されない森林が増えると、外国企業や外国人に買われてしまう事態にもなります。薪ストーブユーザーの立場だと、放置された森林の手入れをする代わりに、伐採した木をもらえたらWin-Winな関係になるのではとも思います。
日本からブナ林が消える
水がなくなる日から
気候変動はブナ林にも影響をあたえる。ブナ林が減ることで生物の多様性が失われる。保水機能や浄水機能が低下。温暖化の進行にともない、ブナ林が失われつつある。今世紀末、平均気温が3~4℃上昇すると、ブナ林の90パーセントは消滅すると予測されている。
ブナの木は薪材としても非常に優良な木である。その木が温暖化とともに姿を消すかもしれないという衝撃的な内容である。
水ならば頭上にあるよスカイウォーター
水がなくなる日から
東京都の水源である利根川、荒川、多摩川の上流部に雪や雨が降らないと水不足になる。東京都内に降る雨はほとんどが下水として処理され、生活用水に利用されることはほとんどない。
近年の異常気象により、ゲリラ豪雨のような局地的に激しく降る雨が多くなってきた。市街地がある平地に雨が降ってもそのまま海へ流れるだけで他の利用法も考えなければならない。
上流部の森林に雨が降らなければ、森林の成長にも影響してくる。多くの広葉樹は多くの水を必要としており、水が不足すれば生育に影響が出てくる。薪材として手に入れにくくなるかも。
リンゴになった湖
水がなくなる日から
トルコ、イラクとの国境に近いイラン北西部にある中東最大の湖・ウルミエ湖が消滅寸前。原因は雨不足と地下水のくみ上げ。リンゴ栽培のために大量の地下水をくみ上げすぎて、湖の水が枯渇したのである。井戸は不法に掘られたもので4万にも及ぶとのこと。
この状況を日本に当てはめると”太陽光パネルになった森林”とでもなるでしょう。かつて森林であった場所に違うものができ、その影響があとから出てくる。影響が出た時にはもう時すでに遅し。元に戻すことはできなくなる。
太陽光パネルのために森林が伐採され廃棄される状況は、薪ストーブユーザーとしてはやるせない気がします。
ミカンの生産地は関東に
水がなくなる日から
農林水産省や環境省によると、現在より3℃気温が上昇すると、コメの産地は北日本を除く全地域で減収、果樹栽培の適地は北上し、ミカンは東北地方南部沿岸部にまで適地が移動するかもしれない。
この問題は、ミカンやコメだけでなく、森林の植生にも影響を及ぼしてきます。広葉樹が多く広がる地域でも薪に適した木(桜、ブナ、クヌギ)などが育たなくなるかもしれない問題があります。
ただ、その時には薪ストーブが必要ないくらい冬は暖かいかもしれませんが。
気候変動は「水のすがた」を変える
水がなくなる日から
水の多い地域では、水蒸気の量が増え、災害につながる1日当たり100㎜以上の雨の降る日が増える。水の少ない地域では、土の水分量が減少し、さらに乾燥がすすみ、干ばつや水不足が起こりやすくなる。
日本は「世界リスク報告書2016年版」において世界171か国の自然災害(地震、台風、洪水、干ばつ、海面上昇)と社会的脆弱性を評価したところ、日本は17位。自然災害に対する対処能力はトップクラスと評価されたが、地震や水害に見舞われるリスクは4位との結果とのこと。
2011年の震災以降も日本各地で、豪雨災害が頻発しており、水のすがたが変わってることがうかがえます。
水不足になると、森林ではブナや楢が枯れる現象が起きてきます。良質な薪のためにも雨は適度な量がいいですね。
豪雨災害ではなく「豪雨・流木災害」
水がなくなる日から
2017年の九州北部豪雨被害では、被害が大きくなった背景に、スギとヒノキの放置された人工林があったためといわれている。人工林が大雨により流され、市街地に流れ込み被害が拡大した。国土交通省の調べでは流木発生量は約21万㎥にも上るとのこと。
日本で使う木材の約8割が外国産であり、日本が木材を買うことで外国の森林を破壊し、水資源を破壊していることになる。
CHAPTER1でも挙げられたとおり、日本の森林が適切に利用されていないことによりこのような事態になっている思われる。薪ストーブユーザーとしても薪を選り好みせず、使っていけば少しはこのもん問題にも関与できるのではないかと思います。
コラムには、高度成長期に植林されたスギやヒノキが、外国産の安い木材に押され価格が低迷し、誰も林業に携わらなくなり、森林が放置されたとのこと。その問題が、今になり顕在化している。
海が酸性化 サンゴは死滅する
水がなくなる日から
海は大気中の二酸化炭素が大量に溶け込むと酸性化する。海洋酸性化が進むと、海洋の二酸化炭素を吸収する能力が弱くなり、温暖化は加速する。また、プランクトンの死滅、サンゴ、貝など海洋生物への影響が出てくる。
森林だけでなく、海も様々な影響が出てくる。
温暖化により海面上昇や、多雨な気候に見舞われると、森林は育たず、豪雨により流失し、薪材の減少も考えられます。
まとめ
この本を読んでわかったことは
- 薪資源と水資源は密接な関係である。
- 放置された森林は防災、国防の面からも脅威である。
- 次の戦争はオイルではなく水の争いが起こるかもしれない。
- 水は無限ではない。
- 日本においても将来は水が不足する可能性もある。
水の節水などにも心がけて、水資源、森林保全などにも気を配っていきたいですね。