薪を持ち上げたら、下からゴキブリが走り出てきた。
薪ストーブを始めた人なら、一度は経験があるのではないでしょうか。
私も何度もあります。そのたびに「この薪、家に入れて大丈夫だろうか」と手が止まりました。
ただ、何年も薪を扱ってきて分かったことがあります。
虫が入って使えなくなった薪は、一本もありません。
薪をダメにするのは虫ではなく、腐りでした。この記事では、実際にうちの薪から出てきた虫と、家に持ち込まないためにやっていることを書きます。
読者がいちばん怖がっているシロアリについても、正直に書きます。
- 薪に虫はつきもの。でも虫のせいで薪はダメにならない
- 穴の大きさと粉で、虫の種類が見分けられる
- 乾いた薪からシロアリを見たことはない
結論:薪に虫はつきもの。でも薪はダメにならない
先に結論を書きます。
虫が入ったせいで使えなくなった薪は、うちには一本もありません。
虫は出ます。それも、かなりの種類が出ます。でも燃料としては問題なく燃えてくれました。
うちの薪から実際に出てきた虫
隠さずに全部並べます。
- ゴキブリ
- カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)
- キクイムシ
- クモ
- ムカデ
- ハチ
- アリ
- ダンゴムシ
- カブトムシ、クワガタの幼虫
なかなかの顔ぶれですよね。
薪棚は屋外にあり、木でできています。虫にとっては住み心地のいい場所。完全に防ぐのは無理だと思ったほうが気が楽です。
虫が薪を食べるのではなく、腐った薪に虫が来る
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
虫が入ってダメになった薪はありません。でも、腐って虫が入ってダメになった薪はあります。
順番が逆なのです。
虫が健康な薪を食い荒らすのではなく、先に薪が腐って、そこに虫が集まってくる。腐った薪はスカスカで、燃やしても熱が出ません。
つまり虫対策の本体は、虫を追い払うことではありません。薪を腐らせないことです。
置き場所と乾燥をちゃんとすれば、虫の問題は勝手に小さくなります。
その虫は何?薪につく虫の見分け方
薪に穴が開いていたら、まず何の虫か見当をつけましょう。
穴の大きさと、出てくる粉で、だいたい判別できます。
| 見えるもの | 疑われる虫 | 薪としては |
|---|---|---|
| 1〜2mmの小さな穴+粉 | キクイムシ | 問題なく燃える |
| 太い穴+木くず | カミキリムシの幼虫 | 問題なく燃える |
| 皮の裏、割れ目に潜む | ゴキブリ | 叩いて落とす |
| 湿った場所、木が空洞 | シロアリの可能性 | 次の章へ |
1〜2mmの小さな穴と粉 → キクイムシ
薪の表面に、針で刺したような小さな穴がいくつも開いていて、細かい粉が出ている。
これはキクイムシです。1〜2mmの穴に、フンのような粉が特徴とされています。
うちの薪でもよく見かけます。見た目はぎょっとしますが、燃やす分には何の問題もありません。
太い穴と木くず → カミキリムシの幼虫
もっと太い穴が開いていて、木くずが出ているなら、カミキリムシの幼虫です。テッポウムシとも呼ばれます。
割った薪の中から、白くて太い幼虫が出てくることもあります。
これも燃料としては問題なし。そのまま炉に入れてしまえば終わりです。
皮の裏や隙間 → ゴキブリ
ゴキブリは木を食べません。隠れ場所として薪を使っています。
多いのが、木と皮の隙間です。冬場はここで寒さをしのいでいます。
だから皮を剥いでおくと、それだけで隠れ場所が減ります。詳しくは後の章で書きます。
シロアリは薪から家に来るのか
ここが、多くの人がいちばん心配している点だと思います。
私の経験から言うと、乾いた薪からシロアリを見たことは一度もありません。
乾いた薪からシロアリを見たことはない
何年も薪を割り、積み、運び入れてきました。その中で出会った虫は、さきほど並べたとおりです。
その中にシロアリはいません。
ゴキブリもキクイムシもカミキリムシも出るのに、シロアリだけは出ない。これは偶然ではないと思っています。
見たのは「腐って放置した木」だった
ただし、まったく見なかったわけではありません。
腐って放置していた木からは、シロアリのような虫を見た気がします。
はっきりシロアリだったと言い切れません。虫の専門家ではないので、似た虫だったかもしれない。それでも、見たのは腐って、湿って、ずっと動かしていなかった木でした。
調べてみると、これは理屈に合っています。
ヤマトシロアリは湿潤な環境を好み、腐朽した朽木や庭の枕木などが食害を受けやすいとされています。餌場と巣を兼ねて、湿った木材の中で生活する虫です。
つまり、シロアリが好むのは湿って腐った木。風の通る場所で乾かしている薪とは、条件がまるで違います。
腐らせないこと。それがそのままシロアリ対策になります。
疑わしいときは自分で判断しない
ひとつだけ、強くお願いしたいことがあります。
家の土台や柱の近くで、湿った木が空洞になっている。そんなときは自分で判断しないでください。
私は薪ストーブのユーザーであって、シロアリの専門家ではありません。家の被害に関わる話を、素人判断で片づけるべきではないと思っています。
少しでも怪しいと感じたら、専門業者に見てもらってください。早いほど被害は小さくて済みます。
- 家の土台や柱の近くで、湿った木が空洞になっている
- 羽アリが家の中で大量に出た
- 床がぶかぶかする、木をたたくと軽い音がする
家の被害に関わる話です。素人判断せず、専門業者に見てもらってください。
家に虫を持ち込まない方法
ここからは実践編です。うちでやっていることは、そんなに多くありません。
屋外で叩く、地面に叩きつける
原始的ですが、いちばん効きます。
薪棚から薪を降ろしたら、薪と薪を打ち合わせる。または地面に叩きつける。それだけで、潜んでいた虫はたいてい落ちます。
大事なのは、必ず屋外でやること。室内でやったら、そこが虫の解放場所になってしまいます。
屋外で乾燥させている以上、虫が潜むのは防ぎようがありません。入ってしまう前に落とす。この一手間だけで、家の中で遭遇する回数はぐっと減ります。
家に置くのは、その日に使う分だけ
もうひとつ、決めていることがあります。
家に持ち込むのは、その日に使う分だけ。 足りなくなったら、その都度また取りに行きます。
まとめて運んでおけば楽なのは分かっています。でも室内に薪を積んでおくと、そのぶん虫が出てくる機会も増える。往復する手間と引き換えに、家の中を静かに保っています。
落としきれないなら、そのまま炉に投げ込む
叩いても落ちない虫はいます。薪の奥に入り込んでいる場合です。
そのときはそのまま燃えている炉に投げ込みます。
乱暴なようですが、これが確実です。屋外にある薪を、そのまま炉に入れるだけ。室内を経由しないので、虫が家に散る心配がありません。
この方法で困ったことは、一度もありません。

落としきれない虫を無理に追いかけるより、そのまま燃やすほうが早いです。
そもそも冬は虫が動かない
もうひとつ、安心材料があります。
薪ストーブを使う時期は冬です。その頃には虫はいないか、いても動きが遅い。
虫がいちばん活発なのは春と夏。薪を運び入れる真冬に、薪から虫が飛び出してくることは、そう多くありません。
虫が怖くて薪ストーブをためらっている人には、ここをいちばん伝えたいです。虫と薪を運ぶ季節は、もともとずれています。

虫が心配で薪ストーブを迷っているなら、そこまで身構えなくて大丈夫です。
虫よけスプレーは効くのか
正直に書きます。
試しました。効果は一時的でした。
試した結果は「一時的」
ハーブやエッセンシャルオイルを薄めて散布する方法があります。ラベンダー、ミント、ローズマリー、レモングラス、ティーツリーなど。ハッカ油をすすめる人も多いですね。
かけた直後は、たしかに虫が減ったように感じます。
ただ、屋外の薪棚です。雨が降れば流れ、風が吹けば飛びます。効果が続くものではありませんでした。
「スプレーをかけたから安心」と考えないほうがいいと思います。あくまで気休めの一手として、期待しすぎずに使うくらいがちょうどいい。
それよりも、叩いて落とす。腐らせない。こちらのほうが確実です。
ゴキブリの嫌がる薪を混ぜる
香りで対策するなら、薪そのものを混ぜる手もあります。
- ヒノキ:香りに防虫効果があるとされる
- スギ:同じく特有の香りを嫌がる
- ユーカリ:虫よけ効果があるとされる
- クスノキ:樟脳の原料。昔から防虫剤に使われてきた
クスノキは「タンスにゴン」のあの香りです。ただし木目がねじれていて、薪割りは非常に大変なので覚悟してください。
虫を寄せない置き方=腐らせない置き方
結局ここに戻ってきます。腐らせない置き方が、そのまま虫対策になります。
地面に直置きしない・壁に寄せない・風を通す
3つとも理由は同じです。湿気を溜めないため。
- 地面に直置きすると、土からの水分を吸って腐りはじめます
- 壁にぴったり寄せると、その面に風が当たりません
- 隙間なく詰めて積むと、中が乾きません
土や草、樹木からもなるべく離す。スノコやパレットで浮かせる。粗く積んで風を通す。
やることは地味ですが、これが効きます。詳しくは絶対NG!!やってはいけない薪の保管に書きました。
木の皮を剥いでおく
薪割りをしたら、木の皮をできるだけ剥いでおきましょう。
ゴキブリなどの虫は、木と皮の隙間に潜んでいることが多いからです。冬場は、その隙間で寒さをしのいでいます。
皮を剥ぐ。そして家の北側など、寒いところに置く。多くの虫は寒さに弱いので、これだけでも違います。
北側に置く理由は薪の保管場所 北側に置くべき3つの理由にまとめています。
春と夏は保管量を減らす
虫が活発なのは春と夏です。
この時期に薪の在庫を減らしておくと、嫌な虫に出くわす回数が減ります。秋口に乾燥した薪を買い足すのも一つの手。
ただし減らしすぎには注意してください。シーズンに入ってから薪が足りない、という事態は避けたいところです。
乾いた薪には虫が来にくい
腐らせない一番の方法は、しっかり乾かすことです。
乾いた薪は虫にとってごちそうになりません。水分も栄養もないからです。
どれくらい乾かせばいいかは薪の乾燥期間は何年?に実測データを載せています。
家の中で虫を見かけたら
それでも、虫は家に入ってきます。そのときの話です。
市販の殺虫剤で駆除
見つけたら殺虫剤で駆除しましょう。いろいろな種類がありますが、ゴキブリには専用のものが効きます。
薪ストーブの近くに置く場合は、熱が直接当たらない場所に保管してください。
据え置き型の駆除剤を使う
ゴキブリは夜に動きます。冷蔵庫の下や電子レンジの裏など、暗い場所に隠れているので、姿を見る機会は多くありません。
そういうときは据え置き型の駆除剤です。置いておくだけで、餌を巣に持ち帰って駆除してくれます。
捕獲したゴキブリを直接見てしまうタイプが苦手な方は、密閉されたタイプを選ぶといいでしょう。
専門業者に依頼
殺虫剤での駆除には限界があります。
数が多い、どこから来ているか分からない、シロアリの疑いがある。こういうときは専門業者に相談してください。
自分で抱え込まないほうが、結果的に早く安く済みます。
よくある質問
Q. 虫が入った薪は捨てたほうがいいですか?
いいえ、燃やせます。キクイムシやカミキリムシの穴が開いていても、燃料としては問題ありません。捨てるべきなのは、腐ってスカスカになった薪のほうです。
Q. シロアリが薪から家に来ることはありますか?
私は乾いた薪からシロアリを見たことがありません。シロアリが好むのは湿って腐った木です。ただし家の土台まわりで異常を感じたら、素人判断せず専門業者に見てもらってください。
Q. ハッカ油は効きますか?
一時的には効いている感じがします。ただ屋外なので雨や風で流れ、長続きはしませんでした。過度に期待しないほうがいいと思います。
Q. 家の中に薪をたくさん置いても大丈夫ですか?
私はその日に使う分だけを持ち込んでいます。足りなくなったら、その都度また取りに行く。面倒に思えますが、室内に薪を置かないのがいちばん確実です。
まとめ
薪に虫はつきものです。うちの薪からも、ゴキブリからカブトムシの幼虫まで、ひととおり出てきました。
でも虫が入って使えなくなった薪は、一本もありません。
薪をダメにするのは腐りです。虫は、腐った薪にあとから来ているだけ。だから虫対策の本体は、薪を腐らせないことになります。
シロアリも同じです。乾いた薪から見たことはなく、見たのは腐って放置した木からでした。
最後にひとつだけ、今日からできることを。
薪を家に持ち込む前に、屋外で一度叩いてください。
たったそれだけで、家の中で虫と出くわす回数はぐっと減ります。虫を完全になくすことはできませんが、付き合い方は選べます。

