薪ストーブの燃料である薪はどの時期に伐採するのが良いのだろうか。
そんな疑問を考えてみた。
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春
- 木の水分
日本には、春夏秋冬という四季があります。
春、木々は春の日差しをあびて新緑の時期です。
サクラの開花や、山の木々に新芽が芽吹いています。
この時期の木はたっぷりの水分を含んでいます。
新しい芽を出し、花を咲かせ、実を作るためにはたくさんの水分が
必要です。
そのため、木を伐採、玉切り、薪割りそれぞれの工程で、
木々から大量の水分が出ます。
木々が大量の水分を含んでるということは
それだけ重量が増します。
同じ薪の木でも春に伐採した木は水分を含んでいる分重みがあります。
山で木を伐採し、それを自宅へ持って帰るのは重労働です。
- 乾燥期間
また、それだけ水分を含んでいるということは、乾燥にも時間がかかります。
薪のとって、乾燥は一番大事な工程です。
水分が多い分ため乾燥に時間を要します。
これは、時間的にもロスが大きいです。
- 害虫問題
他にも、虫の問題もあります。冬眠していた虫が活発になるのも春先です。
木を切ると木の中から虫が出てくることがよくあります。
自然相手なので仕方ないことですが、虫が嫌いな方にはおすすめできませんね。
夏
- 暑さ問題
夏の木々の伐採は、なんといっても暑さの問題があります。
近年の夏の暑さは尋常ではなく、熱中症になる危険性があります。
この暑さの中での伐採は危険が伴うため向いていない時期でしょう。
- 瑞々しい枝葉問題
春に芽吹いた木々の枝葉は気温の上昇とともに
ぐんぐん成長していきます。
夏の太陽エネルギーを吸収するために
枝葉の広がりは大きなものになります。
この時期に伐採を行うと、木々の水分はもとより、
その枝葉の枝掃い、葉の処分の問題が起こります。
水分をしっかりと含んだ枝葉は、手で折ることはできません。
そのため、枝を掃う労力がかかります。
取り除いた葉の処分も考えなければなりません。
- 害虫対策
ここでもまた、虫の問題に直面します。
春は害虫問題と書きましたが、ここでは害虫対策をします。
夏はセミなどの虫がいることはわかっていることですが、
それ以外にも、蜂、蚊などの害虫がたくさんいます。
春にはまだ幼虫だった虫が、成虫となり今度は我々に牙を向けるのです。
自然界に人間が入り込むので仕方ないことですが
これらの虫に対する対策はしっかりと行いましょう。
また、毒蛇もいることもあるので気を付けねばならないでしょう。
秋
- 虫対策 特にスズメバチ
暑かった時期が過ぎ、ようやく涼しくなりかけた秋は木の伐採に向いた時期です。
しかし、この時期に特に注意が必要なことは何と言っても
虫対策 特にスズメバチです。
秋は実りの秋を呼ばれるように、木々には果実や種が多く実ります。
木々は種子を残し、冬を越す準備に入ります。同じく虫も子孫を残すための時期になります。
特にスズメバチは秋に攻撃的になります。
木の伐採のために林に入るとスズメバチに襲われる危険が大いにあります。
その他の虫は、マダニも気を付けるべき虫です。
まだ、全国的には広がっていませんが、西日本では多く分布する
日本の在来昆虫です。
マダニにかまれると感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に
なるかもしれません。
主な症状は、
マダニに咬まれてから6日から2週間程度の潜伏期間を経て,主に原因不明の発熱,消化器症状(食欲低下,嘔気,嘔吐,下痢,腹痛)が出現します。
時に頭痛,筋肉痛,神経症状(意識障害,けいれん,昏睡),リンパ節腫脹,呼吸器症状(咳など),出血症状(紫斑,下血)を起こします。
過去には死亡例もある感染症です。
山に入る際には、長袖長ズボンでしっかりと対策をしましょう。
- 水分が減り、枝葉も少ない絶好の時期
春、夏と木の水分が多く、枝葉の処理が大変でしたが、
秋になるとその水分も徐々に抜け、伐採した木の水分量もかなり少なくなります。
また、厄介だった葉も落葉し、枝掃いの作業もずいぶん楽になります。
気温も低下し、暑すぎず、寒すぎず丁度いい季節が秋ですね。
過ごしやすい季節なので、薪集めよりキャンプに行きたい衝動とのせめぎあいです。
冬
- 水分量、気候ともに抜群の季節
冬は木々の水分量が減り、気候も雨が少なく絶好の季節です。
この時期に伐採を行えば、乾燥も早く、次のシーズンに薪として使える可能性があります。
また、水分量が少ない薪は、運搬も楽です。(とはいっても大変ですが)
今まで問題であった、虫もこの時期は寒さで木々の中で冬眠をしています。
木を切り、薪にすることで寒風にさらされることで駆除することができます。
これにより春の虫の大量発生を抑えることができます。
問題点は、冬の寒さに人間がどこまで我慢できるかです。
薪ストーブで体を暖めるために、
冬の寒い中、燃料の薪を集めるという本末転倒のようなことしなければなりません。
考え物ですね。
- 伐採木少ない問題
冬の乾燥した時期は、伐採に向いていると書きました。
冬の寒風は虫の駆除ができ、虫の活動が鈍ります。
しかし、それは人間も同じです。
寒さの中、木の伐採をする人はあまりいません。
多くの場合、薪は木を伐採している人からもらいますが、
寒いためその活動も鈍ります。
なので、実は冬場は伐採木は少ない時期でもあるのです。
まとめ
ここまで、春は木の伐採には向かない、夏は暑い、秋は虫に注意といった情報ばかりでしたが、
実際、薪を入手しやすいのは春です。
なぜなら、3月ごろから暖かくなりはじめ、
人々が動き始めるからです。
春の農業のために、木々の伐採があちらこちらで見られます。
また、年度末の公共事業で伐採木が発生します。
自治体の伐採木の無料配布も春先に多くあります。
この時期に必要分を入手することが多いです。
一年を通して、伐採木はありますが、秋ごろから動きはじめ、
冬場の薪の使用量を見ながら、必要量を調達してくる。
こういった地道な活動が必要ですね。
もうすぐ、薪ストーブのシーズンです。
しっかり準備をして、暖かい冬を迎えましょう。